障害年金は、病気やけがで日常生活や労働に支障をきたす場合に支給される公的年金ですが、すべての申請が認められるわけではありません。
以下に、障害年金が支給されない主なケースとその理由を説明します。
このページの目次
1. 初診日要件を満たしていない場合
ケース
- 初診日を明確に証明できない場合。
理由
初診日は障害年金を請求するにあたりまず最初に取り組むべきことです。
初診日が定まらなければ、支給される障害年金の種類も、障害認定日も決められず、納付要件を満たしているかも判断できません。
よって初診日が明確でない場合障害年金が支給されない可能性があります。
2. 保険料納付要件を満たしていない場合
ケース
- 初診日の前日において、保険料の未納期間が多い場合。
- 初診日前の直近1年間に保険料の未納がある場合。
理由
障害年金を受給するためには、初診日の前日までに一定期間(通常は加入期間の3分の2以上)保険料を納付しているか、初診日前の直近1年間に未納がないことが必要です。
この要件を満たしていないと、申請は認められません。
3. 障害の程度が障害等級に該当しない場合
ケース
- 障害の程度が軽度であり、日常生活や労働にほとんど支障がない場合。
- 障害等級が3級未満で、障害基礎年金の1級・2級の基準に該当しない場合。
理由
障害年金は、障害の程度に応じて支給されますが、障害等級に該当しない程度の障害では、年金は支給されません。
たとえば、視力や聴力が軽度に低下しているだけでは支給対象にならないことがあります。
4. 診断書の内容が不十分な場合
ケース
- 診断書に障害の状態や程度が十分に記載されていない場合。
- 障害の詳細が曖昧で、審査で適切に評価されない場合。
理由
診断書は、障害の状態を証明する重要な書類です。記載内容が不十分であると、審査で障害の程度が正確に評価されず、支給が認められないことがあります。
具体的には、日常生活に与える影響や、障害の原因となる病気の詳細が適切に記載されていない場合などです。
5. 更新手続きを怠った場合
ケース
- 定期的な診断書の提出や、更新手続きを行わなかった場合。
理由
障害年金の受給には、定期的な更新手続きが必要です。
この更新手続きを怠ると、支給が一時停止されたり、最終的には支給が打ち切られることがあります。
6. 障害の状態が改善した場合
ケース
- 治療やリハビリの結果、障害の状態が改善し、障害等級に該当しなくなった場合。
理由
障害年金は、申請時点の障害状態に基づいて支給されますが、障害の状態が改善され、日常生活や労働に支障がなくなった場合には、支給が停止されることがあります。
これは、受給中でも定期的に障害の状態を確認し、等級が見直されるためです。
7. その他の年金や補償との調整が必要な場合
ケース
- 事故や労災が原因で障害が発生した場合、労災保険や自賠責保険などとの調整が行われる場合。
理由
障害年金と他の年金や保険制度の間で調整が必要な場合があります。たとえば、労災保険から障害補償を受けている場合、障害年金が減額されることがあります。
このような場合、障害年金が一部または全額支給されないケースがあります。
まとめ
障害年金が支給されない理由はいくつかありますが、その多くは申請要件を満たしていないことに起因します。
初診日や保険料納付状況、障害の程度について正確に把握し、診断書を適切に準備することが重要です。また、更新手続きを確実に行うことや、他の補償との調整を理解することも大切です。
障害年金の申請に不安がある場合や、支給が認められなかった場合は、社労士などの専門家に相談し、適切な対応を取ることをお勧めします。